YEAR BOOK1973

 管理人がこのサイトを始めるにあたって考えたのは、各社のヘッドフォンを時系列順に網羅するデータベースを作るということでした。各社のカタログを発行されたものすべてを集めることは非常に困難ですから、カタログ本であるStereo SoundのYEAR BOOK(HifFi STEREO GUIDE)をある程度そろえようと思いました。
 もともと1980年代半ばから1990年代上旬については数冊のYEAR BOOKが手元にありました。その後オークション等で順次買い揃え、1975年から2000年までとびとびながら揃ったのが、昨年(2008年)の暮れでした。
 個人的な見解ですが、ダイナミック型ヘッドフォンの場合、現在で実用品として使用可能な条件は希土類磁石の採用と軽量・高剛性のドーム型振動板だと思っていますので、それらの条件が満たされ始めた時期、及び動作原理的に優位だったオルソダイナミック型に代表される動電平面駆動型が開花した時期を考え、1975年ぐらいまでつながれば十分だと思った為です。
 しかしサイトを初めてみて、古い機器の発売時期をもう少し明確なものにする為に、古いデータも必要と感じたので、表題の「YEAR BOOK1973」を入手しました。

 「YEAR BOOK1973」はそれ以降のYEAR BOOKと大分様子が違うものでした。そこで「YEAR BOOK1973」を読んで感じたことを書いてみます。


T.ヘッドフォンについて
・ヘッドホンのポジション
 何度か、かつてはヘッドフォンよりマイクロフォンのほうが地位が高かったと書きましたが、「YEAR BOOK1973」では明確に扱い方に差が現れていました。マイクロフォンのほうはコンポーネントとして独立して扱われていましたが、ヘッドフォンはケーブルや変換プラグ等と合わせた「アクセサリー」に区分されていました。「HifFi STEREO GUIDE75-76」では「アクセサリー」全般の枠からは独立しています。

・価格の変動
 1974〜75年の資料と比較して、予想以上に価格の変動(値上げ)があった機種が多かったです。これについては順次本体のデータの修正をしていきます。

・機種構成
 各社の機種構成については逆に、予想以上に変化がありませんでした。もちろんこれまで知らなかった機種も載っていました。しかし、たとえばソニーではECR-400/500以前のコンデンサー型があったのではとか、オークションで見かけた年代不明のモデルが乗っているのではと思っていましたが、すでにデータベースに収録した1971年総合カタログに記載の機種がそのまま載っていました。


U.その他
 御茶ノ水のオーディオユニオンなど中古の機器を扱う店で、「YEAR BOOK」シリーズのバックナンバーが並んでいるのを見て、この種のガイド本はどこまでさかのぼって存在するのかと考えたことがありました。終わりは「YEAR BOOK2000」が最後でしたが、今回の資料により、Stereo Soundの資料については、「YEAR BOOK1970」が最初であることがわかりました。また「YEAR BOOK1973」は、「YEAR BOOK1970」以降3年ぶりの刊行だそうです。

 また35年以上前の本ですから、珍しいものが多数ありました。トリオがまだ続けていた光電型カートリッジや、イギリスのメーカーのイオントゥイターとか・・・。特にイオンスピーカーは昔から研究され、現在でも挑戦しているメーカがあることは知っていましたが、35年以上前の製品の写真を見ることができるとは思いませんでした。

 

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