1975年時点のヘッドフォンリスト
HifFi STEREO GUIDE1975収録のヘッドフォン
概況
(国内)
オープンエア型の機種は増え始めているが、しかしこの時点ではまだコーン型ユニットの密閉型が主流である。ヤマハやフォステクスなど動電全面駆動型が揃い始めたのもこのころである。
家電系メーカーは東芝を除き、オーディオ用ブランドをヘッドフォンについても使用している。その東芝もこのあとすぐにエレクトレット・コンデンサー型の投入とともに「オーレックス」ブランドに切り替えている。
当時、国内のオーディオ界をかき回していた4チャンネルステレオはヘッドフォンにも大きな影響を及ぼしている。大手メーカーはほとんど参入していた。当時のオーディオ誌に4チャンネル・ヘッドフォンのフロントとリヤの音をカプセル内でミックスする技術が通常のヘッドフォンの開発の役に立ったとの記述があったが、本当だろうか?
ブランド別にみればパイオニアが非常に活発に活動していたことがわかる。現在の大手ブランド、テクニカは自社ブランド立ち上げ直後であり、ソニーも決して活発な状況ではなかった。そんな状況下で同社はオープンエア型への取り組みも早く、またこの当時の新機軸としてクレハと共同開発した「ハイポリマー型」も発売していた。また早くも耳掛け型のヘッドフォンにも挑戦している。
エレガも充実した時代を迎えている。同社はプロ用機材やOEM供給が主体だが、当時のエレガは一般オーディオ用でも活発に活動していた。この前年(1974)に発売のDR-196Cは、サマリュウム・コバルト磁石を採用した厚さ25ミクロンのマイラー振動板とアルミボイスコイルを持つ機体であり、現代的なヘッドフォンの先駆け的な製品である。また「婦人用」とされていたDR-182Cはヘアスタイルに影響を与えない上下逆転の構成という点で、タワーレコードで誌聴機に使われているテクニカの「ATH-U」シリーズのコンセプトを15年以上前に実現している。
コンデンサー型では、スタックスのSR-X/MK-3が登場している。旧来のノーマルバイアス機の中では最も薄い2ミクロンの振動膜を持つこのモデルは、他社の目標となったのではないだろうか?このあと5年ぐらいの間に他社から発売されたコンデンサー型はSR-X/MK-3のような2ミクロンクラスの振動膜と耳のせ型のイヤパッドを持つ機種が多かった。
(海外)
AKG、ベイヤー、コス、ゼンハイザー等名門とされるブランドはひととおり掲載されている。しかしAKGはまだ代表作であるK240が登場していないし、ベイヤーもまだ鑑賞用モデルが無い。国別にみれば今では消息不明のアメリカのブランドが目立つ。
(国内メーカー)
AIWA アイワ
AKAI アカイ
ASHIDAVOX アシダヴォックス
ST-90 ST-10 ST-12 ST-900 ST-3 ST-11 ST-3000R (4ch機) ST-4000R
AUDIO-TECHNICA オーディオテクニカ
AT-701 AT-702 AT-703 (コンデンサー型) AT-706
COLUMBIA コロムビア(日本コロムビア)=現DENON
CORAL コーラル
DIATONE ダイヤトーン(三菱電機)
ELEGA エレガ
DR-182C DR-136C DR-196C DR-119CH DR-194C DR-164HRT DR-631C (4ch機)DR-174Q (コンデンサー型) CR-2074C
FOSTEX フォステクス
(動電全面駆動型) T50
Lo-D ローディ(日立家電)
HD-33 HD-50 HD-60 (4ch機)HB-404 (コンデンサー型) HC-100
NAPOLEX ナポレックス
WIDE-10 WIDE-40 TPH-100 WIDE-70 X-23 (コンデンサー型) ES-100
ONKYO オンキヨー
OPTONICA オプトニカ(シャープ)
OTTO オットー(三洋電機)
PIEZO ピエゾ=現AZDEN
(コンデンサー型) ESR-2
PIONEER パイオニア
SE-205 SE-25 SE-L201 SE-35 SE-305 SE-L25A SE-405 SE-L401 SE-505 (ハイポリマー型) SE-300 SE-500 SE-700
(4ch機) SE-Q404 (コンデンサー型) SE-100J (無線機) SEW-5
ROTEL ローテル
SANSUI サンスイ
SH-5 SS-35 SH-15 (4ch機) QH-44 (動電全面駆動型) SS-100
SONY ソニー
DR-7 DR-5S DR-4M (4ch機) DR-41 (コンデンサー型) ECR-500
STAX スタックス
TEAC ティアック
HP-101 HP-103 (コンデンサー型) HP-201
TECHNICS テクニクス=現PANASONIC
EAH-330 EAH-210 EAH-350 EAH-370 EAH-220 EAH-230 (4ch機) EAH-400 EAH-404 (コンデンサー型) EAH-80
TOSHIBA 東芝→ AUREX に含む
HR-200X HR-80X HR-50X HR-700 (4ch機) HR-40X
TRIO トリオ=現KENWOOD
KH-32 KH-52 (コンデンサー型)
KH-800 (動電全面駆動型) KH-72 KH-92
VICTOR ビクター
STH-2 HP-150 HP-1000 (4ch機) 4HP-V5 QTH-V7
YAMAHA ヤマハ
HP-300 HP-500 HP-700 (4ch機) QHP-400 (動電全面駆動型) HP-2 HP-1
(海外メーカー)
AKG (Austria) エーケージー(アーカーゲー)
BEYER (Germany) ベイヤー
KOSS (U.S.A) コス
K/6 HV/1A HV/1easy Listener HV/1LC PRO/4AA PRO/5LC (コンデンサー型) ESP/6A ESP/9B
MB (Germany) エム・ビー
PICKERING (U.S.A) ピカリング
SCINTREX (U.S.A) シントレックス
SENNHEISER (Germany) ゼンハイザー
SUPEREX (U.S.A) スーペレックス
ST-N ST-F ST-V SST PRO-BW (4ch機) QT-4B (コンデンサー型) PEP-71
UHER (Germany) ウーヘル